私の休日の過ごし方《大鹿村編》
作成日:2018年8月9日
「日本で最も美しい村連合」に加入する大鹿村。
人々の生活の営みによって形成された文化や、村ならではの自然が特徴です。
最近は、リニアの話題で注目を集めています。
飯田の市街地から一時間ほどかけて大鹿村を訪ね、一日かけて巡りました。
◆大鹿村中央構造線博物館へ◆
関東から九州まで、日本列島を縦断する長大な断層「中央構造線」と、大鹿村に分布する岩石を紹介するのが、「大鹿村中央構造線博物館」。
屋外には、大鹿村内から集めた175個の岩石を地質配列どおりに配置しています。
館内には、国天然記念物「中央構造線北川露頭」のはぎとり標本や、大鹿村周辺の立体地形地質模型も展示されています。
地質に特化した博物館ですので、館内と館外の至る所に石、石、石…。
「中央構造線」が大鹿村を通る特徴を生かした博物館で、大地や山脈の成り立ちにも思いを馳せることができます。
学芸員の方が詳しく説明をしてくれますので、安心です。
裏庭には国土地理院の電子基準点があり、日本列島が少しずつ変形している様子を観測しているそうです。
観測によると、東京-大鹿間の距離は年間1センチの割合で縮んでいましたが、2011年の「東日本大震災」発生時に13センチ離れ、その後数年は離れる傾向が続いたとのこと。
昨年あたりから、距離の変化はほとんどなくなってきたそうです。
私たちが身を置く大地は、知らず知らずのうちに、動いているのですね。
【info】
大鹿村大河原988
TEL /FAX 0265-39-2205
http://www.osk.janis.or.jp/~mtl-muse/
開館 9:30~16:30
入館料 : 隣接する大鹿村歴史民俗資料館ろくべん館と共通
一般(大学生以上)500円、中・高校生200円、小学生以下無料(20人以上団体割引あり)
休館 : 月・火曜(4~11月の祝日は開館)
◆するぎ農園でランチ◆
こうしたうたい文句が体感できる「するぎ農園」。
ランチをいただきに訪問したこの日、飯田は猛暑の真っ只中。でも、到着した途端、爽やかな風に迎えられました。
セミをはじめとするさまざまな虫の鳴き声と、ウグイスのさえずりが混ざった生き物たちの合唱に耳を奪われ、まったりと非日常へ。
昔ながらの家屋を模した「するぎ農園」は、神奈川県出身の風間光太郎さんと、新潟県出身の紀子さん夫妻がはじめて今年で15年目。大鹿村の農業体験施設を借り受け、2人で栽培した無農薬の大豆、蕎麦、野菜と、大鹿村の素材を使ったメニューを提供しています。
人気メニューは、大鹿産自家製粉の蕎麦を使用した手打ちそばと、山野草の天ぷら、村原産の大豆「中尾早生」の煮物などが食べられる「手打ちそばと大鹿の味セット」。
この日の天ぷらは、「赤つめ草の花」「フキの葉」「ゲンノショウコウ」「ヨモギ」などでした。
ヒンヤリとした空気と、窓から見える緑もごちそうに。食欲は倍増し、香ばしい蕎麦と大鹿村の夏の味覚を、気分よくいただきました。
デザートは「ソイクリーム」で、別腹を満喫。
細かく砕いた大豆の粒々感を楽しみながら、こくのあるクリームを味わいました。
「ソイクリーム」の材料は、大豆とクリームチーズ、生クリームなど。
自家製のブルーベリージャムと、南アルプスのおいしい清水でいれた水出し珈琲と一緒にいただきました。
大鹿村で捕れた鹿肉のスモークハムや、手作り豆腐もありますが、こちらは次回のお楽しみに。
「空気もごちそう」を実感した、ひとときでした。
【info】
大鹿村鹿塩1208-7
TEL 0265-39-3008
http://www.osk.janis.or.jp/~kindosan/
営業時間 ランチ11:00~15:00
定休 : 火・水曜 (祝日は営業)
※12月~3月は冬季休業
◆御所平(宗良親王の安住の地)◆
大鹿村大河原地区の林道釜沢線をひた走ると、終点が「御所平」。
南北朝時代に北朝の足利政権と対立した後醍醐天皇の第八皇子・宗良親王が、信濃の豪族の力を借りて勢力拡大を図った場所です。
元は古い開墾地だった山深い場所。宗良親王はここで、約30年間暮らしました。
劣勢が続く南朝方にとって、大鹿村は最も重要な拠点となったそうです。
「ここが、日本の歴史の舞台になったんだ」「今はひっそりとしているけれど、多くの人が出入りしたんだろうな」、と思いあぐねていたら、いつしか往時にタイムスリップしてました…。
【info】
大鹿村役場産業建設課商工観光係
TEL 0265-39-2001
◆信濃宮◆
宗良親王を偲ぶ、もう一つの史跡が「信濃宮」。
祭神は宗良親王です。
神社名は、宗良親王が「信濃宮(しなのみや)」と呼ばれたことにちなんでいます。
昭和15年に皇紀2600年の記念事業として勤労奉仕によって造営が始まり、後に民間の奉賛会によって昭和23年に完成しました。
大鹿村の人々にとって宗良親王は、今でも身近な存在として息づいています。
【info】
大鹿村役場産業建設課商工観光係
TEL 0265-39-2001
◆布工房大鹿さくら組◆
大鹿村で暮らしはじめて17年になる東村邦子さんが、村の桜や大鹿歌舞伎、周囲の風景などをデザインした手ぬぐいが購入できます。
インテリアとして飾ることができるほど、粋でかわいく、洒落たデザインが特徴。
汗をぬぐったり首に巻くなど、実用的な使い方も、もちろんできます。
「大鹿さくら組」を訪ねたこの日、東村さんは、大鹿村のブルーベリーを剪定した枝で草木染をした布を、マフラーに仕立てていました。
今年の夏に剪定した枝は、気温が高かった影響で、いつもより濃い薄紫に染まったそうです。
実際に見せていただくと、上品な薄紫に感動しました。
【info】
大鹿村大河原817
TEL / FAX 0265-39-1012
kuukan@osk.janis.or.jp
不定休
◆塩の里直売所◆
最後に、大鹿村の特産品を購入。
直売所の名前のとおり、大鹿村といえば「山塩」が有名です。
大鹿村の温泉は、塩が混ざった「塩泉」。
山塩は、この塩泉を煮詰めてつくられています。
しっとりしていて、天ぷらの中でも特に山菜とマッチする山塩。
「山で採れる食材は、山で採れる塩が合う」という言葉を聞いてから、この組み合わせが醸し出す絶妙な味が気に入り、山塩にはまっています。
山塩を使ったクッキーやもなか、ようかん、アイスクリーム、飴なども商品化され、店頭に並んでいます。
さらに、大鹿村で捕れた鹿肉の加工品、大鹿村で飼っている牛のチーズも。
村内で収穫したナイアガラのワインのほか、ナイアガラとブルーベリーをミックスした、珍しいワインもありました。
大鹿村の特徴が鮮明に表れている「塩の里直売所」は、何度訪ねても飽きません。
【info】
大鹿村鹿塩364-1
TEL 0265-39-2282 FAX 0265-39-2353
営業時間 4~11月 8:30~17:00
12~3月 9:00~16:00
定休 : 木曜 (12~3月) 4~11月は無休
【山塩に関する補足】
大鹿村はかつて海底にあり、隆起した際に海水がそのまま閉じ込められた場所ができ、その海水を使って塩が生産されているといわれてきました。
近年の調査によって、新しい事実が判明しつつあります。大鹿村中央構造線博物館に詳しい展示がありますので、是非お立ち寄りください。
山塩に関するお問い合わせは、大鹿村観光協会(電話)0265-39-2929へ。
参考 http://www.osk.janis.or.jp/~mtl-muse/subindex02-71saltspring.htm
◆豆腐工房塩の里 美濃屋豆腐店◆
大鹿村原産で、村の気候風土が育てた「中尾早生」を使った豆腐を製造、販売しているのが「美濃屋豆腐店」。
山塩でいただくと美味しさは格別で、県外から購入に訪れる方も多いとか。日によっては、午前中で売り切れてしまうこともあるそうです。
「塩の里直売所」に隣接するため、訪ねてみると、残念なことにこの日は定休日でした。
【info】
大鹿村鹿塩364-1
TEL / FAX 0265-39-1028
営業時間 9:00~15:00
定休 : 木曜
☆感想☆
大鹿村をめぐった今回の旅。
まだまだ訪ねたい場所がありましたが、一日があっという間に終わってしまい、名残惜しい思いを抱えながら家路につきました。
独自の自然と歴史に深く関わりながら、人々の暮らしが息づく村であることを再認識でき、有意義な時間を過ごすことができました。
また、訪ねてみたいです。
タグ:カフェめぐり